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泣くもんかと言わんばかりに鼻をすすり、涙目になったあおをみて、ぎゅっと前後からきつく抱き締める両親に、僅かに小さな体を強張らせるものの、すぐに身を委ねる。
「ごめんな、あお」
低い、どこか優しい声。
「うん」
───ぽつり、とあおの頬に落ちたもの。
「……おかあさん、どうしたの?どこかいたいの?」
それは母親の涙だった。
声をあげることもなく、静かに、頬を濡らしていた。
「おかあさん……」
母親につられ、くしゃりと顔を歪めたあお。
「ごめんね、あお。ひとりにしちゃってごめんね」
ごめんね、と繰り返す母親に、あおはぷつんっと糸が切れたように泣いた。
───しばらくすると泣き止んだあお。
「───そろそろ行こうか」
そう言って立ち上がる父親。
「おとうさん、どこへいくの?ぼくもいきたいっ」
父親の足に抱きつくあお。
「もちろん、あおも一緒にな」
「おかあさんも?」
「おかあさんも一緒よ、三人一緒にね」
「やったぁっ」
飛び上がって喜ぶあお。
そんなあおを父親は軽々と持ち上げ、肩車をする。
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