──あったかい、ぼくのシアワセ──

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「わぁーったかいたかいっっ」 「しっかり捕まれよ、あお」 「うんっ」 歩き出した三人。 「ねぇね、どこへいくの?」 「そうだな、どこへ行こうか」 「この先に綺麗なお花畑があったじゃない、そこへ行きましょうよ」 「お花畑っ、行くっ!行きたいっ!」 「そうだな、その後はおじいちゃん達のとこにも行こうか」 「うんっ!」 ───うれしい。 おかあさんとおとうさんがいる。 あおってぼくの名前を呼んでくれる。 それだけでぼくは体も心もあたたかくなるんだ。 「ふふっ」 思わず頬が緩んで、笑顔になる。 「どうした?」 「どうしたの?あお」 「えっとね、あのね、大好きっ」 きょとんと、目を丸くする両親。 「知ってるさ、父さんも母さんもあおが大好きだぞ」 「可愛いわねぇあお。耳が真っ赤になってるわよ」 「もうおいていっちゃダメだからね?」 「これからはずっと一緒よ、あお。」 「今まで一緒にいれなかった分、何でも好きなこと聞いてやるし、たくさん遊ぼうな、あお」 「うんっ」 あったかい。 やっと手に入れた。 あったかい、ぼくのしあわせを。 ───キラキラと白い雪が舞い降りる中、仲良く三人は歩いていく。 だんだんと、三人の姿は遠くなり、やがて日がのぼると同時に三人の姿は見えなくなっていた。
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