第1章 霊の後輩誕生 

4/34
217人が本棚に入れています
本棚に追加
/791ページ
 ショックを引きずった顔をぶら下げ、近づいて死体の頭と顔をよく見ると、飛び降りた場所がよくなかった。  いま全国の学校で問題になっている、地震で倒壊の恐れのある違法塀の補修工事の現場から撤去したブロックを悪ガキたちが勝手に持ち出してきて、遊んだ後にでも放置したのだろうか? 割れて鏃のように鋭く尖ったブロックの欠片に頭を突っ込んでいた。  そのブロックに見事、返り討ちにあって、頭蓋骨がもう少しで見えるほどに頭皮が酷く抉れた無惨な姿に変わり果てていた。鏡に映っていた顔と、同じだった。  もう美少年の顔ではなくなっていた。 「この死後の世界ではな、生きていたときと同じ、まともな顔をしているのは、老衰とか病気で死んでいった人たちだけだ。おまえのような自殺をした人間は、傷だらけのままの姿で死後の世界をさまようことになるのさ。おまえと俺は、まだましな方だぜ。中には、眼球や脳みそが外に飛び出したまま、さまよっている奴もいるぜ」  そこまで喋り終えると、死体から眼を逸らし、ショックに打ちのめされた顔を観察でもするかのように、化け物は、白目に血が混ざった赤い眼を向けていた。
/791ページ

最初のコメントを投稿しよう!