第1章 霊の後輩誕生 

13/34
前へ
/791ページ
次へ
「まあ、よくある話だ。それで? なんでいじめられていた?」  恵人は怯えながらも返答を拒んで、また沈黙した。 「どうした? ここで隠し事したって何の意味をないぞ。全部、吐き出してみろ」  恵人は、沢口の教師のような口ぶりを耳にしているうちに、担任教師にいじめの相談を一蹴されて自殺を決めたときのことが、頭に浮かんできた。  卒業前の日に言われた最後の言葉が、決定的だった。  その若い男性教師は、姉がやっていることを知っていたのか、いじめられているのは、自業自得だよ、と言わんばかりの口を吐いて突き放し、逆に傷つけてきた。 「言いたくありません」 「そうか、言いたくないか。……まあ、無理には訊こうとは思わん。ところで、おまえの名前をまだ聞いていなかったな」 「ぼ、僕の名前ですか ? 僕の名前は藤原恵人です」  恵人は怯えたままの声で答えた。
/791ページ

最初のコメントを投稿しよう!

217人が本棚に入れています
本棚に追加