第1章 霊の後輩誕生 

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 体を見つめて未練がましく浮いていると、沢口が近づいた。そして有無を言わさず、腕を掴んだ。いきなり腕を掴まれ、恵人の心拍数は一気に上がった。 「え? ちょ、ちょっとまって」  その声が耳に届いていないかのような眼で沢口は上空を見上げると、勢いよく飛んだ。その空を駆けるスピー ドは速かった。まるでスーパーマンのようだ。  恵人は映画のワンシーンを思い出した。スーパーマンが彼女を抱えて空を飛ぶシーンだ。確か、スーパーマンのパクリで、女のスーパーガールの映画もあったはずだ。  ふとそれを頭に浮かべながら沢口の顔を見た。  手を引っ張っているのは美人のスーパーガールではなく、身の毛もよだつ恐ろしい顔をした霊だった。  その化け物顔には当分、慣れそうにもなかった。できるだけ、その顔を見ないようにし ようと思った。
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