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目の前に広がる、静岡の被害は、特にひどかった。神戸、長崎と共に日本3大美港と称えられている清水港は見る影もなく、江戸幕府300年の原点ともいわれる徳川家康の居城、出世城とも言われた浜松城は元の姿がわからぬほどに完全に倒壊し、瓦礫の山のような無残な姿になっていた。
被害は英知を結集した人工物だけではなかった。絵画にも好んで描かれて愛されてきた三保の松原は地面を抉られて、松の半分近くが倒木、消失していた。
静岡の被害は、それだけではなかった。
地震と津波の被害に追い打ちをかけるように、東海地方を放射線の汚染地帯にした悲惨な光景も見えてきた。
復興し始めた他の被災地と違って、あの当時のままだ。
あの忌まわしい日から4年も経っているが、広範囲にまたがって無人の町や村が続き、未だに人をよせつけない不毛の地へ と変わり果てていた。
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