第1章 霊の後輩誕生 

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「ほら、そいつが後ろにいるぞ」 「うわっ」  恵人は飛びのいて振り返った。また屁が出た。      どうやら、ブッというガスが抜けるような音が、沢口の耳にも入ったようで、眼にいたずらっぽい笑みを浮かべていた。が笑っても恐ろしい顔はちっとも変らなかった。  それでも、これまでの沢口の話しぶりや、その顔を見慣れてきたせいなのか、初めて出会ったときよりはそれほど怖いとは、感じなくなっていた。こんな化け物顔にさえも、そう感じてしまうとは、慣れとは恐ろしいもんだな、と恵人はつくづく思った。  すると、世間で眼にする美女とブ男のカップルが、頭に浮かんできた。  自分の眼と同じように、その美女たちも美的感覚が狂っていて、いや麻痺していて、ブ男の顔がそういう風に見えているのだろうか? と変な想像が頭に浮かんだ。  まあ、人の好みはそれぞれ違うし、元々がゲテモノ好きとか、男は顔じゃないとか、たぶん別の理由があるのだろうけど。         
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