プロローグ

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プロローグ

 怪しげなクラブから出てきた、暴力団員か、あるいは卑劣なAVにでも出てきそうな、いかにも社会のくず野郎たちだ、と言わんばかりに肩で風を切って歩く、強面の3人組だった。  すれ違う人たちを威嚇するように通りのセンターを太々しく歩く、俺様がリーダーだと言わんばかりの、一重瞼の目つきの悪い30代後半と思われる肥満ぎみの男だった。  その男は幸いにも、いや不幸にも霊が見える奴で、この凛々しい顔を眼にすると、穴を蹴られた犬のように悲鳴を上げ、怯えまくった。  そして見かけと違って足腰が弱いのか、男は怯えた勢いで腰を抜かした。地べたを尻で擦って後退りすると、口をあわあわと開けたまま、震える右手で、失礼にも顔を指さしてきやがった。  そこで、その指に応じてやれと、歓喜してくれる、いや怯える男への返礼に、さらに怖い顔をつくって、「恨めしや~」という色眼をつけて脅かしてやった。  すると、いきなりパニック症候群でも発症したのか、と思えるほど喚き散らしながら、ひどく腰を抜かしたままの状態で一目散に逃げていきやがった。
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