第3章 重い十字架

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「泣いても弟は救われない。いいか恵人。おまえの弟が大事だと思ったら、おまえが天国に連れて行かれるまでは、弟を守り続けていけ。それが、おまえの取るべき責任だ」 沢口は話を中断して、しゃくりあげている恵吾の姿を沈痛な眼で見つめた。 「だが、いまのおまえの力では弟を守ることはできない。弟の眼には、おまえの姿さえも見えないからな」  瞳を恵人の顔に戻し、続きを語った。  その声に、恵人がすかさず反応した。恵吾を見つめたまま泣いていた顔を上げ、涙目を向けてきた。 「ど、どうすれば? 恵吾を、弟を守ることが、できるんですか?」  溢れ出た涙を拭うと、身に縋るように訊いてきた。
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