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第1章 霊の後輩誕生
その剥がれた状態に戻った頭皮と、蠅のうじ虫でもわきそうな血だらけの傷口を眼にして、あまりの気持ち悪さに、恵人は少し尿をちびりそうになった。
「霊?」
「ああ、そうだ。おまえより先に死んだ先輩幽霊だ。おまえ、その顔からすると、俺の顔がよほど怖いようだな。だが、おまえの顔も人のことは言えんぞ。これで、顔を見てみろ」
先輩幽霊だと名乗った男は内ポケットから手鏡を取り出し、野球選手か、ソフトボールの選手のようにスナップを勢いよく利かせて、鏡を投げてきた。
恵人は両手を伸ばした。ところが、左腕が使えないことをすっかり忘れていた。慌てて右手だけで取ろうとしたので、危うく落としそうになった。それでも鏡をどうにかキャッチすることができた。
そして、言われたとおり、鏡で自分の顔を見た。
「うわっ!」
鏡に映る姿を眼にして、驚きのあまり肛門を刺激したようで、プッと短くオナラをした。が、幸い大便までは出てはいなかった。
幽霊も生きていた頃のように、排尿や、排便をするかは分からないが。
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