217人が本棚に入れています
本棚に追加
/791ページ
プロローグ
天国で暮らす羽目になったサンラー氏は、自分は神様だと名乗る、変な老人と出会うと、またも弟子にされて霊のユタ仙人になったそうだ。
その霊界の仙人とやらになったサンラー氏のおかげで、徘徊している他の霊たちよりは少しはできる男に、いや霊になったが、なぜか天国からはまったく、お声が掛からない。
それどころか、小学3年生のときに両親を交通事故で亡くし、女手一つで育ててくれた祖母も9年前に他界した上に、身寄りのない中年のしがない独身男なので、墓参りをしてくれる人も滅多にこない。
そこで、ふるさとの墓地に戻って暮らすのもひどく退屈なので、久しぶりに東京の界隈を散策しようとやってきたのだが、都内に足を踏み入れ ると、霊感が強いのか失礼にも顔を指さして怖がる人たちを時折、見かけた。
が、そんなことをいちいち気にしてなどいられない。この凛々しい容姿を見て感激、いや怯える連中は、逆にもっと脅かしてやろうかと思うぐらいだ。
まあ、実際に脅かしてやった連中もいる。
最初のコメントを投稿しよう!