プロローグ

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プロローグ

 天国で暮らす羽目になったサンラー氏は、自分は神様だと名乗る、変な老人と出会うと、またも弟子にされて霊のユタ仙人になったそうだ。  その霊界の仙人とやらになったサンラー氏のおかげで、徘徊している他の霊たちよりは少しはできる男に、いや霊になったが、なぜか天国からはまったく、お声が掛からない。  それどころか、小学3年生のときに両親を交通事故で亡くし、女手一つで育ててくれた祖母も9年前に他界した上に、身寄りのない中年のしがない独身男なので、墓参りをしてくれる人も滅多にこない。  そこで、ふるさとの墓地に戻って暮らすのもひどく退屈なので、久しぶりに東京の界隈を散策しようとやってきたのだが、都内に足を踏み入れ ると、霊感が強いのか失礼にも顔を指さして怖がる人たちを時折、見かけた。  が、そんなことをいちいち気にしてなどいられない。この凛々しい容姿を見て感激、いや怯える連中は、逆にもっと脅かしてやろうかと思うぐらいだ。  まあ、実際に脅かしてやった連中もいる。
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