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──僕は、死んだ、のだ。
ほんの数秒前までは生きていたのに、まるで動物の死骸のように地面に転がっている。さまざまな思い出が詰まった校庭に、投げ捨てられた子供のマネ
キンか、人形のように転がっている。
頭と顔から夥しい血を流し、子供とはおもえないような柔軟性のない、老人のような固かった体とは思えないほど、左上腕は途中から、あらぬ方向に向いて。
その腕を見て、気づいた。霊体の左腕もまっすぐではなく、死体と同じように上腕は途中から、くの字のような状態になっていた。
本当に死んでしまったことに、ショックと動揺しているせいなのか、いまも何も痛みを感じてなかったので気付かなかったが、骨が折れていた。そして、
その骨の一部は、皮膚を突き破って少し飛び出ていた。
それを眼にして、えっ?と声を喉に零し、死体の左腕に瞳を戻したときだった。
「やっちまったな」
背後から、胸に響く低音の男の声がした。
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