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「彼女が住むあたりは新規に開発されたローカルな郊外都市。その辺りが静まるのはテレビのバラエティが始まる19時以降。または、逆に平日の昼間も死角だったりするわ。彼女はたまに有給を使って平日に家にいる機会も多いようだから、そこを狙うのもいいかもね。いつが休みかは呟きを見ればわかるわ。『今日は有給でリフレッシュ!』とか書いているもの」
「お、おまえいったい……」
「彼女、テレビを見ながら実況も結構してるみたいだけど、うたた寝しちゃうことも多いみたい。だから呟きの様子と窓越しに少し見える彼女の動きだけで大体状態が分かる。もしうたた寝したら……絶好のチャンスよね?」
玲愛の言葉は、どんどん俺を不安にさせていく。
もし、玲愛と同じことを考えている人間がもう一人でもいたとしたら……。
ゆかりは非常に危険なんじゃないか?
だったら、いっそ俺が保護してやった方が……
「ね? あなたが保護してあげた方がいいんじゃない?」
玲愛が、ニィッと口角を吊り上げた。
ゆかりの言葉は、俺の心を大いにかき乱していた。
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