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私は、走っていた。暗い夜の道を。
クラスメートが行方不明になったという知らせは、自然と私の脚を動かしていた。
西町では今、沢山の大人たちが捜索している。見つかったら家に帰らされてしまうだろう。
だから私は、東町に走った。
もし、ありさが悪い大人に捕まったとしたら、いつまでも西町にとどまるとは考えにくいという理由もあった。
しかし、私がそこで見たものは全く別の光景だった。
「た、助けてくれよ! お願いだよ、なあ!」
響き渡るのは、クラスの加藤の声。
そのすぐ側にいたのは……青山ゆかりだった。
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