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「み、見たのか! 俺を!」
思わず気圧されそうになりながらも、俺はナイフをちらつかせて女を脅す。
あの男、ゆかりと付き合いながら別の女と二股までかけていたのか。
今日が仕事なんて大嘘。本当は愛人とよろしくやっていたというわけだ。クズめ!
まあどのみち、目撃者は消さなくてはならない。
一人殺すも二人殺すも変わらないことだ。
しかし女は、強気な笑みを崩さなかった。
「ふふ。別に私を殺しても構わないわよ。だけど、いいのかしらね」
「どういう意味だ!」
俺が問い詰めても、女ははぐらかすように笑うだけだ。
なんで、なんで目の前で殺人が起きたというのに、この女はこんなに冷静なんだ。
「うふふふ。もう少し……はい、完了。ねえ、今私が何をしたか分かるかしら?」
「お前、俺が奴を殺している写真を……」
「ええ、私が管理するウェブ上の画像倉庫に保存したわ。これを閲覧できるのは私だけ。だからまだ他の誰にも見つかることは無い」
言っている意味が分からない。
どうしてそんなことを……?
「でも、毎日私がそこにアクセスしなければ、この画像は自動的にばら撒かれることになってるの。だからあなたは私を殺せない」
「……な、何が目的だ!」
冷静さを失う俺を焦らすように、女はゆっくりと口を開いた。
「あなたに、私を飼って欲しいの」
そう言って女は、四つん這いの姿勢のまま切なげに俺を見た。
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