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無理強いではあったが、それでも小さい頃は純粋に歌うのが楽しかった。幼稚園の友達や先生、何より母に褒められるのが嬉しかった。
だが段々と成長し、世界が広がって色々なことを知っていくにつれ、徐々に歌うことが疎ましくなっていった。周りの友達が夢中になっていたゲームやサッカーがとても面白そうに見えた。クラシックに興味のある小学生男子などそういるもんじゃない。自分のやっていることは他とは随分かけ離れているという意識が、子どもの俺を不安にさせた。
その頃俺を歌のレッスンに通わせたかったものの金銭的に難しく、ストレスの溜まっていた母とも衝突が増えていった。一時は家の中がかなりぎすぎすした雰囲気になったが、思わぬ展開によってそれは払拭された。
母が結婚したのだ。
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