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その後は、ひたすら茶を入れ続けることになった。 茶を出し終えたところで、次に次に人ならぬ者たちがやってくる。 やってきたところで、私を見て、茶を頼むと判で押したように言うのだ。 8畳ほどの部屋に置かれた6人も座ればいっぱいに見えた炬燵は、今や、カワウソに始まり、ガマガエルだの、タヌキだの,ウサギだの、オオカミだの、果てはネコとネズミが並んで座り、何やら分からぬ黒いもやもやしたものまで、総勢十数人が囲み、一様にぬくぬくと炬燵に当たっている。 どのように入り込んだものか、窮屈そうにも見えない。 じっと見ていると頭の芯がしびれるような感じがしたので、私は深く考えることはやめて、座頭から炬燵の角を挟んだ隣に滑り込んだ。 じんわりと温まった布団が、身体に心地よく熱を伝える。 ほぅっと息をつくと、こんなに訳の分からない事態の只中にいながらも、くつろいだ気分になる。 炬燵って、すごい。 「かえで殿。お一つどうぞ」 ダツが、大福を差し出している。 水かきの付いた手から受け取ることに、一瞬躊躇したものの、私は、礼を言って手を伸ばした。 ずっしりとあんこの詰まった、持ち重りのする大福だった。 「今年最後の仕込み分を分けてもらったのです。いつにも増して、手に入れるのが大変でありました」 私は、大福を口に入れる。 「おいしい」 コクのある餡をもっちりとした厚めのもち生地が、絶妙のバランスで包んでいる。 「そうでしょうとも」 ダツは、満足げに顎を上げた。 「ここの大福を食べては、他のものは大福と呼ぶことすらできません」 私は、あっという間に大福を食べてしまった。 ダツは、仲間たちの会話に戻り、隣の筑波は昨今の文学界の媚びた風潮を熱く批判している。 花札をするもの、世間話に興ずるもの、皆、思い思いに過ごしながら、一様に寛いでいる。 大福の甘い余韻と、炬燵の温かさ、そして多種多様の者たちのおしゃべりが心地よく私を包み、ノスタルジックな幸福感が押し寄せる。 座頭に習い、頭を炬燵に預けぼんやりと炬燵の醸し出す雰囲気に浸る。 不思議な一体感が、炬燵を中心に生まれていた。
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