2眼目 痴れ者が濡らす衣

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勇人から、それまでの物静かな雰囲気は消え去り、口からは獣のような唸り声が漏れる。 怒りに燃えた目で、コウサイを見た。 彼の変化を頃合いと判断したコウサイは、勇人にこう尋ねる。 「では、ご決断を…あなたが望むのは復讐か? それともこれまで通りの平穏か? どうか私に、あなたの叫びをお聞かせください」 「殺してくれ…! アイツを、あの女を殺してくれぇえええええええええッ!!」 勇人の絶叫が響くと、椅子の拘束具がひとりでに動いた。 彼の首、手首、足首を固定し、逃げられなくしてしまう。 コウサイは満足げにうなずきながら、血の色をしたメスを取り出した。 「承りました…それでは、あなたの左目をいただきます…」 薄暗い部屋に、勇人の絶叫と鮮血が舞う。 ここに、契約は結ばれた。 「ふふー、マジちょろいっつーかぁ、笑いが止まんねー」 「お前も悪いヤツだよなー、げひゃひゃっ」 谷村 美沙は、遊び相手の男とカラオケボックスにいた。 セーラー服をラフに着た彼女の手には、1万円札がある。 それも1枚や2枚ではない。 10枚以上の札を扇状に広げて、自分に向けてあおいでいた。 「ネクラそーなおっさんってカモだよねー。『チカンしただろケーサツ呼ぶぞ』って脅せば、いくらでも金くれるしー?」     
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