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「警察呼ぶって脅しといて、金払わせた後で結局は警察呼ぶとか、お前マジでワルな!」
「そしたらジダンキンももらえて、一粒で二度おいしーじゃん? ネクラおっさんなんて生きる価値ないんだからー、あたしみたいな若い子にお金くれて当たり前だよね~」
美沙の高笑いはとどまるところを知らない。
男もそれに同調して笑っていたが、ふとソファから立ち上がる。
「わり、ちょっとションベンいってくらー」
そう言って、部屋を出ていった。
美沙はそれを見送ってから、モニターに目をやる。
モニターには、最新曲の情報やカラオケ機材に搭載されたゲームなどを紹介する動画が流れていた。
美沙の顔から笑いが消える。
「どれも見たヤツばっか…つまんねー」
そうつぶやいて札の扇をたたもうとした時、画面の方向から電車の警笛が聞こえてきた。
「…へ?」
視線を札に向けようとしていた美沙は、音に驚いてそちらを見た。
モニターには、電車内の様子が映し出されている。
「は……?」
さらに驚いたのは、画面の中央に美沙自身が映っていたことだった。
隣には小島 勇人の姿もある。
「なにこれ…? 誰かが撮ってたってこと…?」
呆然としながら見ていると、画面内の美沙が勇人の立ち位置を確認し、右手で彼の手首を握った。
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