2眼目 痴れ者が濡らす衣

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どこかから、勇人の声が響いてくる。 それは激しい怒りの叫びだった。 ”その女…その女だ! 間違いない、その女だああああ!” 「じゃあ、決まり…ね」 瞳がそう言った時、左手にあった目玉が消える。 直後、彼女がその場でターンすると、着ていたものが制服から黒革の装束姿に変化した。 「うふふ」 事態が理解できない美沙に、瞳は微笑みながら一瞬で距離を詰める。 鼻先が触れるほどに顔を近づけ、美沙の顔に右手をそっと添えた。 瞳の左手は振り上げられ、人差し指の爪が銀色に変化し伸びる。 爪の上に、目玉の模様が真紅を帯びて浮かび上がった。 瞳はその体勢のまま、美沙に優しくささやく。 「あなたの右目と命を、いただくわね」 「え?」 意味がわからずに美沙が声を漏らした直後、瞳の左手が振り下ろされる。 銀色の爪が、美沙の右のこめかみに突き刺さった。 「ぎゃあああああああッ!?」 「あはは、いい声」 瞳は楽しげに言い、左手人差し指に力を込める。 指を奥へ突き入れ手前側に引くと、美沙の右目がやすやすと取れてしまう。 「ああああああああああ…!」 痛みと恐怖に美沙は絶叫する。 右目が奪われるのと入れ替わりに、その眼窩へ、どこからともなく現れた赤黒いもやが流れ込んでいく。     
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