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安村刑事は楽しげに言いつつ、フードを強引に下ろす。
直後、彼は思わずぎょっとした。
「うお、お前…」
フードの下には、包帯が巻かれた女の顔があった。
その範囲は顔のほぼ半分、左側ほとんどすべてにわたっている。
包帯姿に驚いた安村刑事は、相手に腕を振り払われたところで我に返った。
すぐさま追いかけようとするのだが、そこで気づく。
「な、なに…!?」
瞬きをした直後、女の姿が見えなくなってしまったのだ。
思わず立ち止まって周囲を見回すが、どこにも姿がない。
物陰や塀の向こうを調べてみても、女は見つからない。
呆然と立ち尽くしていると、佐伯刑事からの無線が入った。
”安さんどこ行ってるんですか! 早く戻ってきてくださいよー!”
「あ、ああ…わかった」
安村刑事は結局、女を見つけることができなかった。
一旦現場に戻り、佐伯刑事や鑑識と作業を進めた後で署へ帰った。
被害者は高村 進次郎…25歳、繁華街にある店でホストをしていた。
売上順位はそれほど高くなく、人気は中の上といったところだった。
「死因は失血性ショック…らしいんですが、どうもはっきりしないようです」
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