3眼目 無闇な依頼にご用心

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「ちょっと…え? 待って、待ってくれるかしら」 コウサイの方を向いた育美は、右手で自らの顔半分を覆いつつ、左手を前に出す。 考えながらも、コウサイの動きを牽制するようなポーズをとった。 「私が聞いたのは、誰も来ない路地裏で雨の日に『oculus』って文字を、自分の血で書くと…恨みを晴らしてくれる人が出てくる、ってウワサなんだけど」 「はい」 「ひィッ!?」 コウサイは、またも育美の背後に立っていた。 彼女は驚いたせいで腰砕けになり、その場にへたり込む。 コウサイが、彼女を見下ろし微笑む。 「それで間違いございません。あなたはその通りに実行し、こうして私が馳せ参じました…何か、ご不満でも?」 「う、恨みを晴らして…くれるんでしょ? だったら…」 育美はコウサイを見上げながら、ガタガタと震える。 そんな彼女に、彼は何かに気づいた顔をした。 「ああ、なるほど…あなたは私を呼び出せば、それですぐに恨みが晴らせるとお思いなのですね?」 「…ち、ちがう、の…?」 「では、ご説明いたしましょう」 コウサイは指を鳴らす。 すると、へたり込んでいた育美の体が、瞬時に椅子の上へと移動させられる。 「え!?」 彼女が驚きの声をあげると同時に、椅子の拘束具が勝手に動いた。     
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