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それは足首、手首、首の順に、彼女の体を捕らえてしまう。
「な、なにこれ!? ちょっと、やめてよ! なにすん…」
「復讐とは!」
コウサイは強い口調で言い、育美の顔に自身の顔を寄せる。
それにぎょっとした彼女は、わめくのをやめてしまった。
その隙に、彼は説明を開始する。
「いいですか、復讐とは…鞘も持ち手もない刃のようなものなのです。そっと握るだけなら痛みはありませんが、相手を傷つければ刃を握った自分も痛い目を見る。相手を殺せもするでしょうが、自分も平穏な日々には戻れなくなる…そういうものです」
「……なに…? なにいってんの…?」
「簡単に言えばですね、タダで復讐を果たせるなどという甘い話はない、ということでございます」
コウサイはそう言って微笑んだ。
右手をくるりと回すと、何もないところから血の色をしたメスが現れる。
それを握った右手を、彼は育美の左目に近づけた。
本能的に危険を察知した彼女は、あわててまぶたを閉じる。
「おや、これは困りましたね」
コウサイは明るい口調で言うと、今度は左手をくるりと回した。
その手に、革ベルトとビューラーが混ざったような器具が現れる。
彼は、育美の頭に革ベルトをぐるりと巻き、ビューラーのような部分を彼女の左まぶたに当てた。
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