3眼目 無闇な依頼にご用心

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「あなたの目は、あなたの人生、そしてあなたの世界で光を浴びた特別なもの…報酬としてこれ以上のものはございません」 「ちょ、ちょっと待って! お金ならちょっとはあるの! それでなんとかならないの!?」 「この場において、お金は必要ありません。先ほども言いましたが、あなたの左目以上の報酬はないのです」 コウサイは穏やかに言いながら、メスの先端をさらに近づける。 育美の目に、かすかな風が触れた。 それはメスの刃先で、ほのかに切り裂かれた風だった。 ここで育美の中にある恐怖が、限界を突破する。 「あぶっ…」 彼女は泡を吹いて気絶してしまう。 それを見たコウサイは、そっとメスを離した。 「うふふ」 笑い声が響いてすぐ、育美が座らされた椅子の後ろに、瞳が現れる。 彼女は背もたれの上部に腕を重ねて乗せ、その上にあごを置いて、コウサイと軽く笑いあった。 一方、安村刑事は中年の男性と話をしていた。 それは今しがた終わり、不思議そうな顔で男性が彼から離れていく。 相手の後ろ姿を目で追うこともできず、呆然とした顔で安村刑事はこうつぶやいた。 「バカな…! そもそも小島 勇人なんて知らない、だと…!?」 勇人に接触した彼は、谷村 美沙が殺された事件について尋ねた。 だが逃げられてしまい、今回は住所を調べて直接家に乗り込んだ。 だが彼はそこにはいなかった。     
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