4眼目 消えた先輩刑事

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走りながら安村刑事は、無線で他の捜査員と連絡を取った。 彼の横顔を見ながら、佐伯刑事はどこかさみしげな表情を浮かべる。 (…なんで、『余計なことに気を回すな』って言わなかったんですか?) 言いかけるのだが、それはできなかった。 やがてふたりは建物に進入し、追っていた手配犯を逮捕した。 「うおぁあああああ!? やめ、やめてくれぇええええええ!!」 「それじゃ、バイバーイ」 絶叫と軽い声。 その落差の度合いを示すかのように、瞳は素早く手を振り下ろす。 絶叫していた男のこめかみに、白く細い指が突き刺さった。 「えぎゃっ!?」 その指は手前側へ向かって引かれ、側頭部の骨を切り裂きながら男の右目をえぐり取る。 鮮血が飛び散った先は、あどけなさと妖しさを併せ持った美貌。 「うふふ」 美貌の持ち主である瞳は、口元に飛んだ血を舐め取り笑う。 やがて男からふわりと離れると、黒革の装束をまとったその体が消えた。 それに少し遅れて、男を見下ろしていた巨大な目玉も消える。 右目を奪われた男はその場に倒れ、痛みにもがき苦しんだ。 「い、痛い! いたいいたいいたいいたいぃぃぃぃいいいいっ! なんでワシが、なんでワシがあああああああ!」 のたうち回る度に、自身の血が絨毯を汚した。     
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