8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
コタツ民
木枯らしが吹いた。
北国出身の太一は、地元育ちの学生に比べると薄着で、暑がりだと思われている。
しかし、一人暮らしのアパートに帰れば一変する。
寒い。
隙間風が吹くほどのボロ家ではないはずだが、どうも寒い。
同郷の友人に聞いてみれば、建物の造りが違うせいだろうと言う。
冷え込むといっても、厳冬期でもせいぜいマイナス数度のこの地域では、防寒対策が不十分なのだ。
おまけに一人暮らしのため、家に帰ると、いつでも部屋は冷え切っている。
自炊もほとんどしないので、火の気もない。
部屋には備え付けのエアコンがあるが、年代物のせいか効きが悪い。
このままでは冬が越せないと、太一は暖房器具を買うことにした。
幸い、先月バイトをめいっぱい入れたお蔭で、予算はある。
ストーブにするか、電気カーペットにするか、選択肢はあったが、太一に迷いはなかった。
買うなら、断然コタツだ。
最初のコメントを投稿しよう!