コタツ民

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コタツ民

木枯らしが吹いた。 北国出身の太一は、地元育ちの学生に比べると薄着で、暑がりだと思われている。 しかし、一人暮らしのアパートに帰れば一変する。 寒い。 隙間風が吹くほどのボロ家ではないはずだが、どうも寒い。 同郷の友人に聞いてみれば、建物の造りが違うせいだろうと言う。 冷え込むといっても、厳冬期でもせいぜいマイナス数度のこの地域では、防寒対策が不十分なのだ。 おまけに一人暮らしのため、家に帰ると、いつでも部屋は冷え切っている。 自炊もほとんどしないので、火の気もない。 部屋には備え付けのエアコンがあるが、年代物のせいか効きが悪い。 このままでは冬が越せないと、太一は暖房器具を買うことにした。 幸い、先月バイトをめいっぱい入れたお蔭で、予算はある。 ストーブにするか、電気カーペットにするか、選択肢はあったが、太一に迷いはなかった。 買うなら、断然コタツだ。
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