第1章

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隣の一回生は、 北海道から来た「カゲヤマ」で、 物理学科の学生だった。 カゲヤマは、 ガタガタ震えしゃべることも困難なイズミの様子に驚いたが、 とにかくその晩は部屋に泊めてやった。 翌朝、 イズミはなんとか事情を説明したが、 もちろんカゲヤマはまともに取り合わなかった。 二晩ともイズミが寝ぼけていたのだと断定した。 しかし、 イズミは恐怖のあまり、 一人で部屋に戻ることもできなかったので、 仕方なく一緒に部屋に入ってやり、 コタツをひっくり返してみたが、 やはり何の異状も見当たらなかった。 だが、 イズミは、 確かにコタツの中に何か入ったのだと言ってきかない。
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