積雪

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積雪

 仕事へ向かうために家を出ると雪が積もっていた。天気は曇りだが雪は止んでいた。アスファルトが見えるくらいだから数センチしか積もっていないけど、この辺では珍しい光景だ。 今日はいつもの道が楽しかった。毎日同じタイミングで青信号に変わる信号機も、錆がついたガードレールも、その日は白く光っていた。純粋にきれいだと思った。いくつになっても雪という存在は楽しいらしい。 仕事中、ふと窓に目をやると朝よりもどんよりとした曇り空になっていた。また降りそうだなぁと少しだけ思ってパソコンに目を向け直した。その時、すでに埃くらいの雪は降っていたと、次の日聞いた。  冬は日が短いから帰る頃にはすでに暗い。夏は日が長いから夏よりなんとなく損をした気分になる。小さいころ、外で遊ぶときの約束は暗くなったら帰るというルールだったため、季節が進むにつれて早く帰らなければいけないのが嫌だった。まぁ、コタツでテレビ見るのもいっかと、幼いながらに割り切っていた。  大人になると不思議なもので、一刻も早く家に帰りたいと思う。小さいころはあんなに外で遊びたがっていたのに今は女子高生が素足に靴下で歩いているのを見ただけで震える。やっぱり若いと寒くないのかなとか思いながら急ぎ足で帰る。
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