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繁華街の裏通り、比較的低価格な飲み屋などが並ぶ中にある雑居ビル。
日付けが変わったころ、上質な夜を思わせるような1人の女性が通用口ドアを閉めて出てくる。
「今日も大したトラブルもなく終了、やっぱりバックが強いと楽ね」
その様子を俺と小守がコンパクトカーの中から監視し、三上姫に連絡を入れる。
「木田を確認しました、これより作戦に入ります」
「よろしくお願いします」
小守の通話が終わると俺は武装を確認し行動を開始する。
「じゃあ行ってくるから、援護よろしく」
「OK」
まずは俺だけで車を降り木田に近付き、人目とカメラの死角を狙い声をかける。
「あの、そこの責任者の木田さんですよね」
もちろん木田は警戒しているが足を止めればそれでいい。
「何? 店ならもう終わったわよ」
「用があるのは木田さんだけです」
「私はお客の相手はしないの、分ったら帰りなさい」
「客は木田さんの方ですよ」
立ち去ろうとしたので腕を掴み動きを止める。
「私にさわらないで」
木田が抵抗するのと同時に数名の黒スーツを着た男が周りを取り囲む。
「木田姉さんに手を出すな」
「ほう、黒服の護衛か」
想定内の人数、慌てることはない。
「忠告しておく、命が惜しいならさっさと行け」
「じゃあ、俺も一つ忠告、命が惜しかったら動かないことだ」
「何だと?」
「さぁ、行きましょう木田さん」
俺が木田の肩に手をかけると黒服男たちが凄む。
「手を出すなと言っているだろ」
黒服たちが拳銃とナイフを抜く、呆れたものだ。
「人の話を聞かないのはお互い様か……」
小守が黒服を狙撃する。
「くっ、仲間がいたのか」
小守の射線の死角になってたやつは俺が軽く関節を外してやった。
「この役立たず」
木田は怒りながら自分の拳銃を取り出し構えようとするが俺がそれを撃ち落とす。
「言ったろ? 殺っちまうぞ」
「このやろう」
根性で反撃しようとする男の銃も撃ち落とし念を押す。
「命、惜しくないのかな?」
そんなことをしていると横に小守が車をつける。
「さっさと乗りな、もう時間だよ」
「上が時間に厳しい人なんで、急いで下さい木田さん」
後部座席に仕込んである拘束バンドに木田を固定し俺が乗り込むと小守が発進させる。
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