2.副業感覚

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 以前は物流倉庫だった建物の地下空間に2人の男。 高級なスーツを着た長身男の方が模造拳銃を試射している。 手慣れた様子で放たれる弾丸は中身の入った飲料缶を貫通している。 「なかなかいい出来じゃないか平井」 平井と呼ばれたライダースを着た男は少々腰を低くセールスのように応対する。 「河野さんに気に入ってもらえるようバレルとシリンダーの内側に硬質パイプを使用して強度と集弾性を向上させました」 一見、モデルガンに穴を開けただけのような違法品だが、意外と質にこだわっている。 「随分凝ってんだな」 「先月から会社で発注も任されるようになりまして、ついでにこれの部品も仕入れました」 「品質向上は結構だが、バレたら元も子もないぞ」 「大丈夫ですよ、うちの経理はザルですから、代金はこれの売り上げから埋めて後から帳面をいじって試作に紛れさせれば分りませんよ」 「ならいいが、自分がこれの的にならないように十分気をつけな」 河野は平井が調子に乗り過ぎないように釘を刺す。 「はい」 「じゃ、代金はこれで、今後もしっかりやってくれよ」 「ありがとうございます」 河野は代金を詰めた袋を渡すと品物が入ったトランクを持ち立ち去る。
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