3.スタートアップ

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 中堅ホテルのスイートルーム。 高級過ぎるとセキュリティが厳しすぎて厄介、コスパ重視だと血の気の多い若い奴らと顔を合わせるリスクが高くなり、それも厄介ってことでミドルクラスが多い。 都市部の夜景も売りの部屋だがすべての窓は目隠しされている。 その一室でビジネスカジュアル程度に身形を整えた俺と、招集されたパンツ姿のもう一人の女が待っている。 配布されたタブレットに目を通し再確認していると上質なスーツを纏った三上が入室しミーティングを始める。 「時間です、今回のプランの説明をしましょう」 三上はプロジェクターにもプランを投影して説明をする。 「今回の目的は地下組織の解体です、最重要目標は暴力団幹部一名」 「本当に1人だけ?」 「話は最後までお聞きなさい」 「すいません」 「活動内容は主に模造銃器、刀剣の製造、薬物の製造、マネーカードの密造です。暴力団幹部も絡んでいる事から兵隊はそれなりに揃えられている可能性もありますので一気に殲滅したいところですが、トップの特定に至っていないのが現状です」 「プラン提示の段階で目標が曖昧か、情報収集に時間がかかるとはめずらしい」 疑問を持っているのは俺だけじゃないみたいだ。 「この段階で私たちが作戦を開始する理由は?」 「関係している違法風俗店運営者がなかなかの曲者でして、高級デリバリーと称して未成年を紹介し、また顧客の情報を利用して組織を拡大しようとしているのです」 「男ってのはどうしてリスクがあっても若いのを欲しがるんだか」 「女性向けのサービスも展開しているようですよ」 「だってよ、小守」 「話の続きを」 「絡んでいる暴力団とは以前に仕事で対立した事がありまして、その巻き返しを狙っているようなのです」 「モタモタしていると会社が危ないと?」 「はい、あちらの網にかかった者の中には財界、政界の実力者も含まれています」 どこもかしこもって感じだ、 「じゃあ暴力団ごと潰すかい、その中に幹部が入ってりゃあいいんでしょう?」 「それでは全面対立になって色々表に出てしまい、パワーバランスも崩れ、あまり好ましくありません。できれば組織と幹部と深い関わりのある人間程度に留めたいので」 「ご自慢の財力があれば地域の組の一つや二つ簡単でしょう?」 「どうしたのですか? 今回はあまり乗り気ではなさそうですが」 確かにそうだ、
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