しとしと

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 仕事を休んだ初日、病院に行って、駐車場から、受付から、待ち合い、会計に至るまで、時間がかかってとても辛かった。その上、受付のひとや看護師さんが、怖い感じの人だったことが、やけに思い出されて仕方がなかった。  (ああ、その印象がそのまま、悪夢になってきたんだな)  夜更けの冷やかさが、徐々に頭を正常にしてくれるようだ。  こん、こんとあちこちから咳が聞こえて、待ち時間が長いことに文句を言い始めるおばあさんがいて。  しつこく雨が降っていて、患者たちの靴は汚れていた。床は一面、微妙に濡れていた。  看護師さんも事務員さんも、伝染されるリスクと隣り合わせで、患者さん達全てが自分たちの生活を脅かす悪魔に見えているのかもしれない――だけど仕事だから、とにかく捌く、ああ嫌な時間だ、話しかけないでほしい、順番がくれば呼ばれるんだから、待っていればいいのだ――もう三日も前の事なのに、目の前を通り過ぎていった白衣の人たちの心の中が、聞こえるような気がした。
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