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昨日一緒に仕事をしていた同僚は大丈夫だろうか。
インフルエンザを発症したら、何日も休まねばならない決まりだ。人手不足の職場で、これは痛い……。
恋人もインフルエンザに伝染していないだろうか。
仕事できりきりまいしていて、常にいらいらしている恋人。
インフルエンザの検査のために病院に行くことすら、迷惑がるだろう。
考えていたら、息が詰まりそうになった。
インフルエンザのために、頭の回転がのろくなっている。
どろどろした熱い沼に漬かっているような気分だ。半纏を着こみ、氷のように冷たい足で畳を踏んで立ち上がった。
まずは、着替えを。
それから、少しでも何か体に入れなくては。
寝室から台所への数歩が辛かった。
体の異様な具合の悪さを意識すればするほど、不安は確信に変わった。
間違いなくインフルエンザだろう。
急激に熱は上がっているし、このだるさはアレ特有のものだ。
あまりの辛さに、今すぐ布団に戻って寝たいという思いが込み上げた。同時に、心行くまで何も考えずに体を癒すことなんか、金輪際できるわけがないんだという悲しい思考の波が、ぐわっと押し寄せてきたのだった。
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