笑顔の奥の記憶

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総司と新八はこんなんだけど、とても仲がいい。総司は、稽古をしてくれる相手がいないと言っていたけれど、本当はよく新八と稽古をしている所をよく見る。 きっとあれは、私を気遣ってあんなことを言ってくれたのだろう。私には、気遣いは無用なんだけどな。素直じゃないのは皆同じ・・・か。 「なぁ詩音。」 「なんですか土方さん?」 土方さんは、一瞬私の顔を見た後に前を向いた。私は首をかしげたが、土方さんの問を待つ事にした。 「・・・お前、今ちゃんと笑えてるか?」 いきなり何を言い出すかと思えばそんな質問を・・・これから人を殺しに行くのに今? でも、ちゃんと笑えてるか・・・ね。実際どうなんだろう。私は、皆の期待に添えた笑顔をが出来てるだろうか。私は、人と同じように、笑っているのだろうか。 「どちらかと言うと笑えてる、じゃないですかね。第一、自分じゃ分かりませんよ。私にとって、笑うことは簡単じゃないですから。でも、」 でも、ここにいる皆が、話をして私の話を聞いて、笑ってくれる。それで満足なのかもしれない。 「皆が、笑ってくれれば・・・私もきっと、笑えてるんじゃないですかね。今は、幸せだと感じてますよ。」 私の小さい頃の記憶はほとんど無い。親に慕われたという記憶も、ほぼほぼない。だからこそ、今が楽しいと、幸せだと言えるのかもしれない。
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