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そう答えた後、少しの沈黙があった。そして、土方さんが静かに口を開いた。
「まぁ、大体の事は分かった。それで、これからについてだが、お前はまだ子供だ。人を殺った経験は俺達よりもあるようだが、そんな命のやり取りをするまでもねぇ。
俺が命令しない限りは、屯所にいるなり外に出ているなり好きにすればいい。だが、山崎も最近忙しい。だから、俺が頼んだ時は夜の偵察はしてもらいたい。・・・出来るか?」
それが私の仕事なら。
それで皆の役にたてるなら。
「喜んでお受け致します。」
そう、私は土方さんの目を見つめて言った。
「詩音と一緒に仕事が出来るなんてなー。でも副長、俺だって夜の偵察位何て事ないねん。それに、結構暇なんよ?」
「お前にはやってもらいたいことが山ほどあるんだ。我慢しやがれ。」
「あ、それに関して私もいいですか?」
なんだと言いながら土方は私を見る。
「あの、夜だけとは言わずに昼間でも動けるので大丈夫です。」
そう、今まで昼も平気で動いてきた。それに、倒れる具合は自分がいるよく知っている。太陽に当たらなければいいだけだから、日陰にいれば問題は無い。
「だが陽の光はダメなんじゃねぇのか?」
「大丈夫ですって!それに、男装がダメなら女の格好で外に出れば問題はないと思います。元々、私は女ですし。」
「はぁぁ!!?」
「女の格好って・・・・・・。」
「正気かよ!!」
・・・なんでそうなるっ!?
皆さん忘れてませんか?私が女だってこと。別に女装・・・ってか本当の性別に戻って何がおかしいんです!!!
「私はれっきとした女です!それに、日陰にいれば大丈夫ですって!!監察方は多い方がいいでしょう?丞だけじゃ無理がありますって。」
そう、これは正論。決して自論ではない。
・・・やっぱ少し入ってるかも。
「・・・・・・はぁ。つくづく俺の姉貴に似てんなお前。分かったよ、なんなら好きにしやがれ。」
「ありがとうございます!!」
パァっと表情が明るくなったのを見た瞬間、少し土方さんの顔が歪んだ気がした。
仕事を貰えたことよりも、皆とまた過ごせる事が嬉しかった。人生がRestart《リスタート》したように思えた
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