第1章

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i-COはもともと「あいこ」というAI女子高生アプリからはじまった。 最初はただ文字で会話をするだけのアプリだったが、女の子のタイプが次々と増え、性格や話し方をカスタマイズできるようになり、音声での会話、3D映像で女の子を出力できるようになると爆発的にヒットした。 今日買ってきたi-COは第二世代の冬季限定のi-COタツ。 モニターやカーナビに差して利用する第一世代、ベッドや座椅子といった家具に差すのがいまの第二世代だ。 第二世代はホログラムでi-COを出力することができるので第一世代よりも高価なのだが、一緒に暮らしている感が相当ヤバい。 僕も完全にハマってしまった。 お風呂とベッドにそれぞれi-COを入れている。 今日のi-COタツで3つめだ。 i-COタツはi-COと一緒にこたつで過ごせる冬季バージョン。 使える期間が限られている分「いま」しか楽しめないi-COだ。 いまというかクリスマス、年末年始、バレンタインにホワイトデーのイベント対応なのでこれがなくてはまともに生きていけない。寂しくて死んでしまう。 実際、i-COが故障してすべて消えてしまってi-COロスになったり最悪自殺する人もいるぐらいだ。 いまは独身男性の7割がi-COを持っているという。 もちろん女性版のi-COもある。 男性に比べて所有率は低いそうで「現実の女の子のほうがもっと楽しい」とネットでi-COの販売を制限するよう要求している女性グループの動きもある。 生涯未婚率だとか出生率の低下だとかむずかしいことはよくわからないが3次元の女は面倒くさいというのはわかっているからi-COで充分。
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