第1雪 この白いの、なんですか?

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まず目についたのは、青い洞窟だった。 寂れた林の中の、ポツンと開けた空間に。 子供一人がやっと入れるくらいの穴が、ごうごうと唸りをあげていた。 なぜ今まで気づけなかったのだろう。 この林には木材や木の実、少ない野性動物などで大変世話になったというのに。 まるで今まで存在してなかったかのような、そんな馬鹿げた感覚がふわりと上がってくる。 恐る恐る、咆哮をあげる口元に触れてみる。 冷やりとした触感。少し湿ってて、指触りがとてもーー。 ーーコナイデ。 「っ!」 反射的に手を引っ込める。 こえ? コエ? 声? なんで? 誰だ。誰かいる? どこに? どこから聞こえた? 「......ここから?」 こないでーー、来ないでといったのか、この洞穴は。 まるで蛇が鳥の卵を飲み込むかのように、そんな錯覚さえ覚えてしまうそのような穴に。 俺は『来ないで』と言われたのか? 恐怖、違う。 焦燥? 違う。 本能、そう。本能、生存本能だ。これは。 本能が訴えかけてくる。 入るなと。踏み込んではいけないと。 しかしなぜだろう。 同時に訴えかけてくるものがある。 入れば死ぬという感覚と同時に、入らなければ未来はない、とでも言いたげな予感というか直感が渦巻いている。 ああ、さっきのヒヤリとした感じ。 もしかしたら、洞窟<<こっち>>じゃなくて、本能<<これ>>のほうかもしれないな。 「ーーふぅ」 と、深く息を吐く。 落ち着こう。 大丈夫。なんの変鉄もないただの穴じゃないか。 行ける。行ける。大丈夫。大丈夫。 なぜ入ることが前提なんだろうとか。 このまま帰ればいいじゃないかとか。 不思議なことに、そういう思考は一切無かった。 「よしっ......」 意を決した俺は、勇気ある第一歩を踏み込み! まずはこの穴を広げようとクワを降り下ろした。 俺には狭すぎた。
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