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ただ、それを後ろで見ているファウストが面白そうにしているのだけは、いたたまれない。
「あっちで生まれたばかりの子も触らせてくれるようだぞ」
「はい、赤ちゃん動物とのふれあいコーナーがありますよ」
「行く」
兎を飼育員にそっと戻し、連れられるようにそちらに。行ってみると…少し感じが違った。
「猛獣の赤ちゃん…だ」
確かにまだおぼつかない足取りだが、その足は猛獣らしく逞しい。ただ、体の大きさに対して不釣り合いな大きな耳やクリクリとした目はぬいぐるみのように愛らしい。
ファウストと一緒にそこへと行くと、とても簡単にゲートを開けてくれる。そして、言われるがまま柔らかなラグの床に座った。
「え? ここから?」
どうしたら…そう思っていると、なんと向こうから来た。
トテトテと近づいてきたライオンの子供が、ランバートの膝にじゃれる。爪は肉を裂く鋭さはなく、牙もまだ丸い。そんなので浴衣の裾や膝で遊ぶのだ。可愛くて仕方がない。
隣を見ると…黒ヒョウか?
何か黒いネコ科の動物が膝の上に乗っている。ファウストとしては、どうしていいかと困り顔だ。それを見て、ランバートは可笑しくて笑った。
「おい」
「だって」
「…可愛いが、どうしたらいいんだ?」
「寝かせてあげればいいんじゃないのか?」
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