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プロローグ
「おめでとうございます!
三等のホットプレートです」
手許のベルをカランカランと景気良く鳴らす。
家電大型量販店のロードサイド店舗。
歳の瀬の夕方六時、バイト終わりまで後一時間。
私、真下ほのみ、二十二歳。
寒さに震えつつ、ガラポンを回すお客様に景品を渡している。
とにかく寒い!早く帰ってあったかい鍋焼きうどん食べたい!
それにしても、何で外?
無駄に広い駐車場に、ダダ広い店舗。
店内にくじ引きコーナー作っても良かったんじゃない?
「ほのみちゃーん、そろそろ片付け始めてていいよー」
柴田先輩が暖かそうな店内から出てきて声をかけてくれた。
ホットのペットボトル入りミルクティーもこっそり差し入れてくれる。
優しいし、見た目もスッキリした爽やかな好青年といった感じ。実は英語と中国語も話せて、お客さんの対応で困ってるところを見たことがない!何でこんなところで働いてるのと思ってしまうような逸材だ。
私はただのバイトの後輩です。高望みはしません。
さぁ、後一時間頑張ろ。動いてる方が寒さも紛れるかも?
私は残った景品たちを段ボール箱に詰め始めた。
事件は唐突に起こる。
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