魂の降る夜

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ぶわっと、強い風を受けて思わず目を閉じる 瞳を開けると、花の咲き誇る世界が広がっていた 「ここは、春だよ、あそこで歌っているのは花の精霊。僕たちが向かうのは、冬だ」 スネグーラチカに手を引かれるまま、私は風のように軽やかに飛び回ることができた さっきまでの寒さが嘘のように暖かな陽気 スネグーラチカの示す先には可愛らしい女の子たちが輪になって踊っていた 「冬は春の隣だからこっちだよ!」 花の咲きほこる野原を抜けて、私とスネグーラチカは森の中に入った 次第に頬を撫でる空気が冷気を帯びてくる 「さぁ、目を閉じて深呼吸して!」 すぅっと息を深く吸うと、冷たい空気が喉をキンと冷やして心地よい 「ほら、もういいよ、ここが冬だ」 恐る恐る目を開けると、広がる世界に息を飲んだ
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