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私は一晩中躍り続けた
不思議と疲れを感じないのは、体がないからなのだろう
「スニェーク、そろそろ帰らなくちゃ」
スネグーラチカに促されて、私は小さな精霊とお別れをした
「さようなら」
別れを惜しむ私に、小さな精霊は可愛く微笑んで、頬にキスをしてくれた
触れるような冷たいキスは、心のなかをふわっと暖かくしてくれた
「スニェーク、お兄ちゃんがわかった?」
「えぇ、私の名前を呼んでくれたわ、姿は違うけれど、きっと間違いないと思うの」
「僕たちは精霊になるまえの記憶を持ってはいない。それでも、心のなかに明かりが灯るように輝く思いを持って生まれることもある。あの子はスニェークのことを本当に大切に思っているんだね」
「スネグーラチカにもあるの?そんな輝きを放つ思い」
私の問いかけに、スネグーラチカは、はにかんで私を強い風のなかに引き込んだ
体がちぎれそうなくらい、引っ張られる風の中からぴかっと光る白い光が見えた
「ほら、君の世界に帰ってきたよ」
スネグーラチカに言われて目を開けると、森の中に朝日が差し込んできていた
雪はすっかりやんでしまっている
「僕も帰らなくちゃ、またね、スニェーク、アヴローラに伝えて、僕は、君のことをいつまでも覚えているよって」
「わかったわ!」
そう答えると、スネグーラチカはふわっと飛んで、森の中に消えていった。
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