魂の降る夜

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「スニェーク!!!」 家に帰ると、お父さんが血相を変えて駆け寄ってきた 「スニェーク!どこにいっていたの!」 臥せっているはずのお母さんまで、真っ青な顔をして私を抱き締めてくれる 「あなたが帰ってこないから心配で心配で、街中を探し回ったのよ!無事で良かった…」 お母さんに抱き締められながら、私はなんだか気恥ずかしいような、嬉しいような気持ちでいっぱいになった 真っ暗で闇に包まれていた我が家が、急に穏やかな明かりをつけたように明るく見える それは、きっと差し込む朝日のせいだけではない 「スニェーク」 「…おばあちゃん!」 おばあちゃんが一年ぶりに私の名前を呼んでくれた 心の中にぽうっと、明かりが灯るように暖かな気持ちが広がっていく 「スネグーラチカは、元気だったかい?」 私が駆け寄ると、おばあちゃんはゆっくりとしたしぐさで私に耳打ちをした 「うん」 私はにっこり微笑む 「おばあちゃんのことを、いつまでも覚えているよって伝えて欲しいって」 私の伝えた言葉に、おばあちゃんは小さな女の子のような顔をして、すごく嬉しそうに微笑んだ
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