side a

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そんな日はあの日を思い出す。 小学五年生の、三学期が始まって間も無くの頃。 学校に迷い込んだ子犬。 クラスの友達みんなで誰かが拾ってやらないと寒さで死んでしまうと相談して。 結局一軒家で、既に一匹飼っているからと私に白羽の矢が翔んできた。 最初は困惑したけれど、その子犬を抱き抱えるとその暖かさにきっと大丈夫、お母さんに言えばきっと飼うことを許してくれると思った。 帰り道、名前は既に決めていた。 雪のように真っ白い犬だったから、ユキちゃん。 何度も呼んで「お前は今日からユキちゃんだよ」と目の高さに抱えて教えた。 それなのに、神様も母親も残酷なもので。 「どうして犬なんか拾ってくるの?今すぐ元居たところに戻してらっしゃい!うちには既にハチが居るでしょ?」 「でもそんなことしたら、ユキちゃん……」 「じゃあ、ハチを捨てる?二匹もなんて無理よ!」 まだ反抗期も始まっていなかった私にとって、母は絶対だった。
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