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谷中はおネエっぽい所がある。
身長も高くモデルのようなスタイルで、大きめな瞳と通った鼻筋、少し厚めの唇。
黙って立っているだけで注目を浴びる美形だ。
でも、興奮すると口調が女子っぽくなるし、口元を手で隠すし、ちょっとした指の動きだとかの中にも醸し出されるモノがある。
小中高校大学と全くからかわれたりせずに生きて来られたのは、彼がイケメンで秀才でスポーツも出来て滅茶苦茶にイイ奴だからだろう。
「ガッチー、大丈夫? 水、横に置いとくね」
心配そうな声が上から降ってきて、顔から少し離れた場所にペットボトルが置かれた気配がした。
うつ伏せの状態から身動ぎするのもしんどく、サンキューとモゴモゴ呻くので精一杯だった。
今日はサークルの忘年会だった。
普段の飲み会に来ない斉藤さんが来ていた。
そして、調子に乗って飲みすぎた。
酔って潰れて帰れなくなって、面倒見の良い谷中が独り暮らしの彼の家に俺を連れてきてくれたのだった。
サイアクすぎる……。
飲んでも変わらない、男気のあるところを見せたかったのに、潰れてこのザマだ。
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