あの夏

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あの夏

母がわたしの部屋にきて珍しく2人だけで話をしていた。 ふと、母が言った。 「明日は何時なの?」 「明日?明日、明日はえぇと……」 その瞬間、あぁこれは夢なんだと気がついた。 明日の9月12日、14時……ーー 自分のなかで整理できないまま眠ってしまったから、母が夢に出てきたのだと気がついた。 翌日、それまで静かに降っていた雨が傘に音を立てるほどの粒になる頃、母の納骨式が行われた。集まったのは父と2人の兄と母の兄妹たち、10人にも満たない人数。天気予報では14時に雨はあがると言っていたのに、予報は外れた。
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