あの夏

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思っていたよりも話し込んでしまい、帰りはあんちゃんがわたしを車で送ってくれることになった。 「お腹空いたな」 「お腹空いたね」 高速を使っても一時間半の道のり、わたしは途中でお菓子を食べていたけれど、あんちゃんはお昼にサンドイッチを食べて以降、お茶しか飲んでいない。食べて帰るかということになったけれど、入ろうと思っていたラーメン屋の明かりが駐車場に入った瞬間、消えた。反対側のコメダの入口で、追い返されているお客の姿を見た。夜9時だった。 「まん防か……」 「これがまん防なんだね……」 おのれ、まん延防止等重点措置。まさか、こんな時にこんな形でその洗礼を受けるとは全く予想していなかった。よもやよもやだ。しかも、なんか雨降ってきたし。 高速のサービスエリアも賭けだ。県を跨いでの不要不急なお出かけはお控えくださいと言われている世の中。普通のお店だって閉まる時間。高速のサービスエリアともなれば昼間だって閉まっている可能性がある。 結局、近くのコンビニでパンを買って食べた。あんちゃんはお弁当を買って、帰ったら食べると頑張って運転をしてくれた。 長いこと2人で話してなかったけど、なんだかんだでやっぱりあんちゃんはあんちゃんで、更にお父さんになってパワーアップしているように感じられた。わたしは助手席で黙々と菓子パンを食べ、帰宅してお風呂に入ってすぐに寝た。
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