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姉が帰宅してからの、家族の役割分担は1日もかからずに決まった。
そこは家族。
母は身の回りの世話を。
父はその分、母の家事の手伝いを。
俺は、姉が病院に行く付き添いを受け持つことになった。
車椅子を押して、1キロ先の病院に姉を送っていく。
18になった俺には、そのくらいのことしかできなかった。
「いちばん、大変な仕事よ?雨でも風でも、検診日には必ずお姉ちゃん、病院に連れて行かなきゃならないんだから。」
父も、車で送迎しようと申し出てくれた。
それでも、俺は。
「姉ちゃんと、外の空気を吸う。……寒かったり、風が強かったり、危なかったら親父、送っていってくれ。」
姉のために、自分が何一つできないというのは、嫌だった。
「姉ちゃんが嫌なら……やめる。」
そんな俺の言葉に、姉は笑顔で言った。
「瞬と一緒にお出かけ出来るなら……お願いしようかな。だって、瞬……守ってくれるでしょう?」
この日から、俺は姉の『ボディーガード』になった。
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