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2018年1月後半。冬だ。しかも今年の冬はやたら冷え込む。先日は都内近郊で大雪が降った。
我が松本家では、去年の11月後半には冬の温もりを出していた。
冬の温もり。一家がそこに集まり、寛ぐ絆と成り得る場所。帰ってきて、手洗いやうがいをしたら真っ先にそこに来て体を暖める。
我が家の長老、源八さんとその妻である稲さんは、もう奥の席に並んでずっと座っているし、父哲也は帰宅して手洗いうがいをして着替えて、急いでここに来るし。
徹兄ちゃんも、弟の滋彦も小学校から帰ってきて手洗いうがいをしたらすぐにここに来る。
母、由佳も家事の合間にここに来て暖を取る。
「優太は本当にここが大好きね」
お母さんは僕を撫でる。
「優太は主だな」
お父さんは笑う。
「優太がそこにいると、なんだかホッとするなぁ、婆さんや」
「ええ、私もそう思いますよおじいさん」
長老夫婦。
「えへ、暖かいな、優太」
と徹兄ちゃん。
「優太、こっちに来て」
と甘えてくる弟滋彦。仕方ないな、と僕は弟の隣に移動する。
僕は松本家の『冬の温もり』の主なんだ。まぁ、別名『こたつの守り神』とも言うかな。
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