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「痛ってぇー! お、置いてくってそんな! お前ひとりでこの船乗ったって、金がなきゃ何にもなんないだろ。どうすんだよぉ」
「いざとなれば私ひとりで何とでもなる。おまえの乗船券を売っぱらって換金すれば今までの飲み食い代ぐらいは払えるしな。それにそもそもお前と違って私は『神族』だからな。船旅の間中ぐらい食わなくても、基本生きていける」
「それならオレ自分の飯代ぐらいは何とかするからさァ、船旅のあいだだけメシ食うの我慢してくれよ」
「ば、馬鹿者……お前、自分の犯した失敗を棚に上げて主君に我慢を強いながら、自分ひとりだけ今後も饗応にありつこうというのか!?」
「だって…メシ食わなくても基本生きていけるって今自慢げに言ったのお前じゃん」
「…とにかく! これ以上お前といると足を引っ張られるのみならず、尻まで拭わされるはめになりそうだ! ここで叩っ殺されなかっただけでも光栄と思え。さあ出港まではあと何時間だ?さっさとスリ犯を探しに行ったほうがいいんじゃないのか?」
「ああ、そんな。この通り、悪かったってば…謝るよ。だからスリを探せっていうならナシェルも手伝ってよぉ」
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